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踊る!ディスコ室町のギター

今週読んだ本

もう最近は読む本読む本おもしろくてしょうがない。とりあえず直近1週間はこの3冊。


◯言葉と生きる日記(多和田葉子
古賀及子さんの選書フェアで出会って即買いしたら名著だった。
「早起きは三文の『得』ではなく『徳』」「ドイツ語では『すべる』が縁起のいい言葉」「世界的に見れば主語を省略できる言語の方が圧倒的に多い」など、知らなかったことが毎ページに書かれていて、へーへーいいながら読んだ。こう書くと豆知識本のように見えてしまうかもしれないけどそんなことはなくて、著者と一緒に気づいていけるような感覚が心地よい。そのあたりは日記という形式の妙というか、読みやすさ親しみやすさがあるところだ。


◯喫茶店ディスクール(オオヤミノル)
京都のコーヒー焙煎家・オオヤミノル氏。以前『珈琲の建設』は読んだことがあったけど、最近ふとしたことで名前を思い出してみると、誠光社から新しい本が出ていた。
帯にも使われている「契約」という言葉がよく出てくる。たとえばコーヒーへのこだわりを標榜しているカフェでエチオピア・ブラジル・インドの豆を選べるとして、その味のちがいが客に伝わらなかったらそれは契約違反だよね、みたいな話。「店は客と契約するんだよ。でも客は店と契約するわけじゃない」。このへんは読んでいて背筋が伸びた。
茶店をはじめとする規模の小さい商売についても言及が多くて「資金調達」という章まである。そこではいきなり「資金を作るために佐川急便で頑張ってバイトするなら、同じくらいの頑張って出資者を探せ」と言っていて、たしかになと思った。自分のまわりにも最近カレー屋をオープンしようとしている友達がいて、もし彼が困ってたら出資したいなとか考えてみている(本人! 読んでたら連絡ください)。


◯珈琲の建設(オオヤミノル)
何年か前に読んだはずだったけど再読。コーヒーの話もおもしろいけど、改めて読んでいるとサービスに関する話が印象的だった。「味なんか三流でもサービスがいいところを選ぶ」とか言っている。なるほどな〜とか思いながら近所でそれぞれ老舗のお好み焼き屋と中華屋に初めて入ってみたら、どっちに行ったときにも注文時に「ビールは料理と一緒にお持ちしますか」と聞かれた。今まであんまり気にしてなかったけど、庶民的な店でのサービスってこういうことかもしれん。
コーヒーをドリップすると、まず①ピュアなコーヒー液が抽出されて、そのあと②エグ味の原因になる出がらしがでて、最後に③無害な出がらしが出てくるといっている。こないだ久しぶりに行ったKAFE工船で出てきたのは①と③だったのか。前回7年前に行ったときも今回もこの本を読んでから行ったはずだけど、全然気づいていなかった。
本もコーヒーも背筋の伸びる味。この2冊は語り起こしのような形で作っていると思うけど、それにしても誠光社堀部さんすごい仕事だなあ。
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