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路上観察は子供の目(路上観察学入門 / 赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊 編)

京都のギリギリ駐車コレクションという記事でエントリーしていたデイリーポータルZ新人賞で、なんと記事部門の最優秀賞をいただいた。

dailyportalz.jp

 

新人賞の存在を知ったとき、ネタとしてすぐに思いついたのが京都の駐車事情について。しかしアイデアはあるものの、こういう記事を書くのは初めてだ。そこで、デイリーポータルZの過去記事を参考にして書くことにしたのだった。

 

そうして参考になりそうな記事を探しているなかで知ったのが、世の中には「路上観察」というジャンルが存在するということ。

デイリーでは、三土たつおさんの記事や「片手袋」についての記事が印象深い。

dailyportalz.jp

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そしてやっぱり「ギリギリ駐車」の記事も、路上観察系に属するらしい。デイリー編集長の林さんにもそうコメントをいただいたので間違いない。しかも王道とのことだ(ちなみにこのコメント、発表されて以来ほぼ毎日確認しては嬉しさを噛み締めています)。

王道の路上観察記事。車はただ停まっているだけなんですが、分類と「補助なしのストロングスタイル」などの形容詞でこの面白さを翻訳できています。写真をきちんと正面、横から撮っていることも大事です。 (林)

デイリーポータルZ新人賞2020 受賞記事へのコメントより)

 

改めて考えてみると、僕は道を歩くときはけっこうキョロキョロと周りを観察しているような気がする。あまり意識することはないものの、むかしからよく物を拾ったりするし*1

 

路上観察、Web記事の世界では王道にもなっているように、魅力のある世界なんだろう。せっかく最優秀賞*2をいただいたことだし、この機会に路上観察に向き合ってみたい。

 

 

路上観察学入門 (ちくま文庫)

路上観察学入門 (ちくま文庫)

  • 発売日: 1993/12/01
  • メディア: 文庫
 

 

前置きが長くなったが、そうして手に取ったのが本書。

文庫化されているが最初に刊行されたのは1986年だ。 読んでみると、たとえばマンホールの蓋を見比べたり公園のくずかごを観察したりする行為はすでに体系立てられている。歴史のある営みだったのか。

 

以前のエントリでも似たようなことを書いたけど、やっぱりこのような路上観察者のまなざしというのは、視界の解像度を高める嬉しさみたいなものが根底にあるようだ。

なんでもコレクターのように集めて比べてみると違いが見えてくるし、それに気づくと、文字通り世界は違って見える。 

このような感覚が、赤瀬川と藤森の対談では「子供の目」と表現されている。

赤瀬川 :

(子供に児童画教室で石膏デッサンをさせると)一人の子供が石膏像のすぐそばに来てじいっと見ながら描いている。でだんだん顔が出来上がってきたのを見ると、顔に直線が縦横に入ってるの。(笑)それがじつは石膏像を作るときの継ぎ目ね、あるでしょう。あれがたしかにすぐそばで見ると目立つんだよ。じつは僕もはじめて石膏デッサンをするときあれを描くのかと思って先輩のを見たら、あんな表面上の線は無視してデッサンをしているのね。ああそういうものかと思って、僕はさすがに描きはしなかったけど、子供はもっと直接だから、見たまま描いちゃうんだ。あの線が本当はこの世の中にあるわけよね。でも僕らはそれを無視してやる。

 

藤森 : 

だけど子供の目というのはそれを見つけちゃうわけでしょう。だから路上観察は子供の目かなというふうに感じる。僕らは神にもなれないし宇宙人にもなれないけど少年時代には戻れるんだ

路上観察学入門 131~132P、太字は引用者)

 

石膏デッサンでなくても、未就学児の似顔絵にはほとんど必ず鼻筋が入っているように、たしかに「子供の目」には思い当たる節がある。

路上観察は「そういうもの」として抽象化していた世界を再び分解する役割があったのか、と膝を打った。

 

 

 

また、図らずも「超芸術トマソン」について詳しい記述と遭遇して妙な繋がりを感じる。最近 in the blue shirtことアリムラさんたちのトマソンスタジオという共同運営スタジオの企画をよく見ていたのだ。

企画自体を楽しんでいて名称まで想い及んでいなかったが、ブログでちゃんと言及されている(めっちゃいい名前ですね)。

しばらく名無しの状態が続いた弊スタジオ、赤瀬川原平らの超芸術トマソンから概念を拝借し、トマソンスタジオと名付けた。なんとなく気が抜けているが、クリエイティブへの姿勢みたいなものはしっかりと感じられるので、なかなかに気に入っている。

無題 - in the blue shirt

 

 

 

 

30年以上前の本なので現代とは倫理観がちょっと違うところもあって(団地の各部屋の様子をのぞいて家主の行動を記録したり、女子高生の制服をウォッチしたり…)、今読むとオッと身構える部分もある。

しかしもちろんギョッとしているばかりではなく、考古学ならぬ”考現学”として周りを観察する姿勢がこの辺から始まったのか!と思うと、なにやら不思議な感慨がある読後感だった。

 

別にマンホールのフタを見分けられたから何か得するというわけではないけど、得した気分くらいにはなれる。

それでなおかつ少年の心に戻れるのなら、それってめっちゃ楽しいことだな。

 

 

 

(おまけ)

ギリギリ駐車の記事を書いてからも、引き続き見つけては写真を撮っています。

最近は珍しい”シャッターがギリギリ型”を発見しました。

f:id:makoto1410:20200801215756j:plain

普段は隠れているのでレア度を感じさせられる

 

 

 

 

路上観察学入門 (ちくま文庫)

路上観察学入門 (ちくま文庫)

  • 発売日: 1993/12/01
  • メディア: 文庫
 
街角図鑑

街角図鑑

  • 作者:三土 たつお
  • 発売日: 2016/04/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

songdelay.hatenablog.com

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*1:余談なんですが、小学生の頃はよく携帯ストラップを拾いました。最近見ないなと思ったんですが、そういえばストラップってもう全然付けないですね??

*2:ここだけ毎度ボールドにしていてすみません、嬉しいんです