『赤いスイートピー』は松田聖子の代表曲(1982年発売の8枚目のシングル)であり、作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(ユーミンのペンネーム)の名曲である。
奥手な相手に向けた「知り合った日から半年過ぎても あなたって手も握らない」という歌詞が印象的だ。
知っている人も多いはずの大名曲だけど、「スイートピー」がいったいどんな花なのか、その生態を把握している人は、そんなに多くないように思う。少なくとも自分は知りませんでした。
というわけでちょっと調べてみると、松本隆の不思議な歌詞世界を、より深く感じることができる(気がする)。
「スイートピー」はマメ科植物
Wikipediaで「スイートピー」を見ると、「マメ科レンリソウ属の植物」とある。和名でジャコウエンドウ、カオリエンドウなどと呼ばれており、エンドウマメに似ていることからそう呼ばれているらしい(ちなみにエンドウマメは「マメ科エンドウ属」)。
ja.wikipedia.org
スイートピーは秋蒔き・春咲き
スイートピーは「秋蒔き・春咲き」の植物である。
品種改良が進んでいる現代では、その限りでないものもあるみたいだけど、一般的な品種は9月下旬から11月上旬にタネをまいて、4月下旬〜6月中旬に咲くらしい。
9月に種まきすれば4月に、6月に種まきすれば11月に開花すると大ざっぱに考えると、種まきから開花には、だいたい7ヶ月程度かかると見ていいだろう。
ここまでわかった時点で歌詞を見てみると、以下の部分の謎が解けるのではないか。
何故 知り合った日から半年過ぎても
あなたって手も握らない
つまりQ&Aとしては以下のとおりである。
Q. 知り合った日から半年過ぎても あなたって手も握らない?
A. タネをまいてから開花まで半年以上(7ヶ月)かかるから
こじつけのようだけど、わざわざ「スイートピー」という具体的な植物を登場させているからには、その生態に何かしらの比喩や、意味が込められていると考えるのが自然である。
ただ、半年過ぎてはいるので、あと1ヶ月くらいすれば開花が望まれると思う。水をやりつつ様子を見てください。
スイートピーには毒がある
では、スイートピーには他にどんな特徴があるかというと、それは有毒植物であることだろう。
スイートピーのマメとサヤにはアミノプロピオニトリルという神経毒が含まれおり、多食すれば「痙性麻痺を引き起こし、歩行などに影響が出ることがある」。恐ろしい。
上述したとおり、歌詞に登場する二人の恋愛関係は、植物としてのスイートピーに例えられている。
だとすれば、詞中の恋が実ったあとにできる果実(正確にはマメですが)には、神経毒が含まれている。恋が実ったからといって、その後もうまくいく保証はないということですね。
歌詞の終盤、
このまま帰れない 帰れない
というフレーズがありますが、これは神経毒に犯されている様子を表現しているのかもしれません。恋の果実(マメですが)を多食した結果、歩行が困難になり、物理的に帰れなくなっているんですね。
「帰りたくない」を表現しているのかと思いきや、神経に影響を受けて帰れなくなっているとは思いませんでした。大変な恋です。
スイートピーは一年草
最後に、スイートピーの植物としての特徴は「一年草である」こと。つまり、花が咲いて種子ができると、そのまま枯れていく運命にある花なんですね。
ですから、神経毒に犯されてまでに邁進した恋路も、長くは続かないということです。タネを取っておけば、次の年も花を咲かせることはできますが……毎年のようにスイートピー氏を相手にして恋愛を続けていると、体が持ちそうにありません。毒のある人からは逃げたほうがよさそうです。
でもそういう人に依存してしまう人もいますよね。友達とかにいる。
途中から自信がなくなってきて、ですます調になってしまいました。そういうこともありますね。
というわけで、歌詞に登場する植物は、その特徴を知っていると歌詞の世界をより楽しむことができるのでは、という話でした。
茶化すみたいな記事になってしまいましたが「生き方が好き」っていう告白とかめっちゃすごいと思って真剣に聴いています。
ちなみにスイートピーはシチリア原産らしいです。松本隆先生も、シチリアでのんびりしてるときに「ええ花あるやん」ってなったんですかね。シチリアで「ええ花あるやん」ってなりたいですね。
<参考文献>