songdelay

踊る!ディスコ室町のギター

10代

夜、またネギくんに誘われて鴨川で練習。
毎回いろんな人が参加するクルーなんだけど、今日は初対面の10代(!)メンバーが来ていた。


ひととおり練習が終わって楽器を片付けていると、背中に(ツン)と感触がある。
誰かがぶつかったのかと思ってスルーしていると、また(ツン)。
振り返ると、10代男子がニコニコしながらこちらを見ていた。


「はじめまして、◯◯です。お名前聞いてもいいですか」。

(ツン)は意図的なものだった。その場にいる人に順番に挨拶をしているらしい。
とりあえず自己紹介をしていると、演奏のことについて聞かれる。

「スケールとか、ぜんぶ覚えてるんですか?」「アドリブとか、すごいなと思って」。

答えに詰まる。
質問に正面から回答するなら、僕の場合だいたいの曲はメジャーかマイナーのスケール*1を使ってピロピロ弾いているけど、たとえばミクソリディアンとかドリアンのようなスケールは全然使ったことがない。ので、「スケールをぜんぶ覚えている」状態にはない、ということになる。
ギターではCメジャーでもDメジャーでも、フレットをずらせば同じ運指(指の動き)で演奏できる。その点でも「ぜんぶ覚えている」とはちょっと違う気がする。


しかし、その場でこれを全部説明するのも変な気がしてしまって(実際ヘンだろう)、「いや〜全部メジャーで弾いてるだけやで〜〜」みたいなことを言って、あとは苦笑いで流してしまった。


・・・・・・・・・・


その後、彼ら(なんと他にも10代の子が数人いた。なんで?)を観察していると、SNSとか連絡先をガンガン交換している。

それ自体は大学とかでよく見た光景だと思うけど、自分が経験したり見てきたものよりも、もっと積極的なように思えた。なんというか、モジモジ感がないのだ。

その光景を見ていると、自分の好きなことを共有できる仲間に飢えているんじゃないかと感じた。
その気持ちが強いから、初対面でもとりあえずコミュニケーションを図ってくれたのだ。


彼らにとって今は大学1年の秋だけど、あるはずだったサークルの新歓や学校のオリエンテーションのたぐいは、全部スキップされてしまっているのだろう。
きっと”大人” と話すのも慣れていないはずだ*2

そんななかで、初対面の7つも8つも年上の僕に話しかけてくれていたのか。


・・・・・・・・・・・


彼の質問は、少し変だった(と思う)。

ただ、質問にちゃんと答えられなかったことは、申し訳なかったような気がしてきた。

こういう考えでこういうふうに演奏してる、という内容をちゃんと伝えてあげればよかったのかもしれない。


・・・・・・・・・・


自分はコロナと無縁の大学生活を送って、会社員生活も数年やった。

それでも、初対面の人と正しくコミュニケーションが取れているかというと、全然そんなことはない。モジモジしてしまうのだ。


コロナ禍の大学生に文化の違いを感じたつもりが、単に自分が人見知りをしていただけだった。




*3

*1:特定の音階のこと、たとえばドレミファソラシドはCメジャー・スケールといったりします

*2:僕が大人かどうかは一考の余地があるけど、彼らから見れば十分に大人なのではないでしょうか

*3:ちなみに、ネギくんとやっているバンドはこんな感じです