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踊る!ディスコ室町のギター

モンゴル武者修行の記録① 羊と自分が同じ直線上にいる

人生で初めての海外旅行は、モンゴルだった。

去年の7月、「モンゴル武者修行ツアー」に参加したのだ。

www.furowork.net

 

 

新卒で入った会社がブラック気味で、これを一生やるのは無理やな…と考えていたときに主催・伊藤さんの著書「ナリワイをつくる」*1を読んでモンゴル武者修行の存在を知った。前々から馬に乗ってみたいと思っていたところだったし、今でも世界には草原にゲルを建てて生活している人がいるんだ!と思うと、急速にモンゴルに対する興味が湧き上がってきた。

すぐに参加することはできなかったが、その後転職して比較的まともな会社で働くようになったこともあり(ちょっとは貯金ができるようになったのもある)、思い切って参加することにしたのだ。

 

 

モンゴルは期待を裏切らない草原と、想像以上のダイナミクスで迎えてくれた。ツアーに参加してから1年が経とうとしているが、当時ゲルの中で書いたメモがiPhoneから見つかったので、一部編集しながら公開しようと思う。

武者修行ツアーの行程は、移動を含めて7泊8日。 2日ずつくらいに分けて紹介する。 

 

 

 

 

 

◯7月11日(1日目)

大阪の実家から関西空港へ向かい、神戸からのツアー参加者Yさん・Sさんと合流。身軽にしてきたつもりだったが、Yさん、Sさんは2人とも僕より軽装。微妙に人見知りを発揮してしまい、初対面2名とのコミュニケーションでいっぱいいっぱい。

12:30 関空発、仁川空港まで2時間のフライト。モンゴルへは直行便もあるそうだが、今回は韓国経由での移動だ(大韓航空)。座席のディスプレイで機体の前方・下方カメラをみているうちに到着。

14:30 仁川空港着。ピカピカの空港だ(最近リニューアルしたとのこと)。トランジットツアーに参加する予定だったが受付時間に間に合わず、空港の中で時間を潰す。韓国料理レストランでめっちゃ辛いラーメンを食べてみたり、なぜか設置されているVR体験コーナーで遊んでみたりしてみるが、時間はなかなか潰れず持て余す。うろうろしてみると、空港は左右対称のつくりになっている。

17:30 成田からの参加者と合流。主催の伊藤さんは目印としてモンゴル相撲の帽子*2を被っている。ほとんど全員が初対面のはずなのに、なぜかいきなり知り合いのような雰囲気で自己紹介も軽いもので済ませてしまう。

19:30 仁川発。大韓航空の機内コンテンツでノラジョーンズのライブ映像を流しながら、「バッタを倒しにアフリカへ」を読む。機内食ビーフorポーク。パンプキンサラダが美味しい。

22:00 ついにウランバートル着。関空や仁川と比べると、チンギスハーン国際空港はこぢんまりとしていて、なんとなく離島の旅館のような雰囲気がある(いよいよ今年中には移転する、と言われつつ何年も経過しているらしい)。ロビーでガイドのアギーさんと合流し、ついに草原へ向かう!

空港から車3台に分乗して宿泊地を目指す。天気は小雨、車通りは多めで、日本車をよく見かける。しばらくは舗装された道路を走っていたが、途中からは草原の中を走る。ドライバーのおっちゃんは荒れた道をもろとせずにデコボコ道を高速走行している。大変なドライビングテクニックだ。

同乗したガイドのカイさんはアニメ好きの大学生で、かなり流暢な日本語を話す。一番好きなアニメはナルトで、好きなセリフは「だってばよ」。

車窓からの景色を眺めたり自己紹介をしたりしているうちにツーリストキャンプに到着。高速走行技術のおかげで予定より早めの到着だったが、さすがに長旅に疲れていてこの日は早めの就寝。12人の参加者が4つのゲル(男子1、女子3)に別れて過ごす。

トイレも野外で…みたいなイメージがあったが、ツーリストキャンプは思ったよりも水回り設備がしっかりしていて安心する。お湯が出るシャワーもあるそうだ。

月がめちゃくちゃに明るい。星もよく見える。

 

 

 

◯7月12日(2日目)
5:30ごろ、朝日が眩しくて起床。ゲルの天窓から光が入ってめちゃ明るい。屋根には鳥がとまっているらしく、羽音やさえずる声がうるさいくらいに聞こえる。外に出てみると、昨日は暗くてよくわからなかったがやっぱり一面の草原だ!

草原の朝は涼しく、四方八方から動物の鳴き声が聞こえる。チキチキと聞き慣れない音がするので出どころを探すと、ネズミが鳴く音だった。よく見るとそこらじゅうに穴があり、ときどき顔を出している。人懐っこい飼い犬を発見して撫でたり、繋がれている馬や囲いの中の羊を見学して過ごす。羊は財産の象徴なので、初対面の人に飼っている羊の数を聞くのは無礼にあたるそうだ(貯金いくら?と聞くようなもの)。いろんな社会があり、いろんな御法度がある。

朝食はパンとチャーハン、ソーセージ、ミルクスープ。最初にパンだけが出てきたので、まさかこれだけか…?と不安になったが、あとからチャーハンも出てきて朝からガッツリだ。基本的に朝昼にしっかり食べて夜は簡単に済ませるのがモンゴル流らしい。

朝食を食べ終わると、おもむろにナーダム競馬が始まった。ナーダムとは、モンゴルの国を上げてのお祭りで、モンゴル相撲・競馬・弓射の3つの競技が行われる国民行事だ。毎年革命記念日から3日間行われており、今年の武者修行はたまたま日程が被っておりラッキー。少し遠かったが、30〜40頭の馬とそれを追いかけるクルマが砂塵を巻き上げながら激走する姿は圧巻だった。モンゴルの競馬は日本の競馬みたいに競馬場があるわけではなく、草原を10〜30キロ走る。騎手は子供で、鞍なしで乗るのも普通だ。

 

10:30、いよいよ乗馬スタート。宿のオーナーであるバギーさんに各自馬を割り当てられ、ラフな雰囲気で開始。このツアー中のパートナーになるので顔を覚えておくように、とのこと。いきなり振り落とされている人いる。自分に割り当てられた馬は人懐っこそうなやつだ。

モンゴル馬はサラブレッドよりひとまわり小さいが、日本の乗馬よりも野生度が高いとのことで注意点がいくつかあった。派手な上着を着ないこと。馬には必ず左側から近づくこと。馬上でポケットをがさがさとまさぐったりしないこと。ビニール袋なんかが飛んできたときは馬が驚いてしまうので気をつけること(馬に「なんか飛んでくるぞ」と教えてあげる)。

早速跨がり、現地のお姉さんが乗る馬に曳かれてしばし練習。途中太陽に雲がかかって涼しかったのもあり、早くも最高の気分だ!早く曳き馬から独立したい。

 

乗馬が終わり、昼食はパン・野菜スープとホーショル。ホーショルとは、でっかい揚げ餃子のようなもので、”タネ”は羊のミンチ。普段から食べるが特にお祝い事のときには欠かせないものらしい。伊藤さん曰く、ナーダムのためにシメた羊があったのではないかとのこと。普通のミンチと内臓ミンチを使ったものをそれぞれいただくが、どちらも草原の香りがしてうまい。草原にはハーブぽい草が自生しており、羊はその草を食べているので肉に香りが移るみたいだ。大地・草・羊と自分が同じ直線上にいることを強烈に実感する。ちなみに、馬や牛のウンコもこの匂いなのでくさくない。

 

しばらく休憩のあと、乗馬午後の部開始。今回も曳き馬でスタート。道中少しスピードがあがるとバランスを取るのが難しく、普段観戦している競馬ジョッキーの偉大さを知る。

相当長い距離を歩き回り、最終的にはガイドさんの曳き馬から独立して行動できるようになった。出した指示に馬が応えてくれるときの喜びは格別だ!馬は愛嬌と頼もしさがあり最高。

 

乗馬が終わり、持参したドリップバッグで自家焙煎コーヒーを淹れていると、武者修行の面々が続々と集まってくる。家で飲むコーヒーも美味しいが、大草原のシュチュエーションでかなりブーストがかかった美味しさだ。やたら褒められて調子に乗り全員分を用意して気分よく過ごすが、このあとフィルムカメラが壊れていて写真が撮れないことに気づき少し落ち込む。

 

フィルムカメラを諦めたあと、乳製品作りを見学。牛乳からオイル(シャルトス)やヨーグルトをつくる。やっぱり生活の基本は自炊、自分で食べるものは自分でつくるのが良いなと感じる。

できたものは大体優しい味だ。肉を焼くときに落ちた脂も捨てずにストーブの火に投入するのがモンゴル流とのこと。火力アップのみならず、宗教的な意味合いもあるらしい。

 

晩ご飯はサラダ、鶏肉と人参の炒め物。モンゴルのビールが軽い口当たりでうまい。ご飯のあとは、民族衣装を着て記念撮影大会。戦闘用の鎧を着させてもらうがめちゃくちゃ重い。

食後、昼間乗った馬から鞍を外し、各々草原へ散っていくのを見届ける。彼らは夜間、どこにも繋がれずに過ごすのだ。

21:00頃、ゲルに戻って就寝。日本の夢をみた。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

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