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踊る!ディスコ室町のギター

国道24号線

熊野古道エリアのゲストハウスに遊びに行った。今回の移動手段はバイクで、京都の自宅から国道24号線を南下して五條から168号線に入るルートを走った。片道200キロ、5時間超の長旅である。それで往復してみての感想は、ひたすら景色が懐かしいということであった。

学生時代は京田辺に住んでいたので、京都府南部エリアはいちいち思い出がある。3回生のときには250ccのバイクを手に入れて、田舎道をトコトコ走っていた(思えば相当暇だったのである)。ここ夜中によく走ったな〜とか、うわあの店なくなってる! とか思いつつ、自転車で30分かけて立ち読みしにいった古本屋や元バイト先の茶畑を横目に眺めているうちにあっというまに奈良である。

奈良にも住んでいたことがある。新卒で入ったのが奈良の会社で、すぐに辞めてしまったとはいえ奈良県内はずいぶん走り回った。主にウロウロしていたのは奈良市内だったが、地元企業の看板を見るたびに「ここは◯◯部長が担当だったな」とかいちいち思い出すので懐かしい。県内の近鉄の全ての駅をめぐる研修とかもあったし(これもいま思えばのどかな研修だ)、田原本とか橿原とか、久しぶりに地名を見るだけでもずいぶん懐かしい。

そんなわけで片道約5時間のうち、ちょうど半分くらいが懐かしいエリアであった。その後、五條を過ぎるとあとはひたすら山である。山道に入ると急カーブや勾配に集中することになるので、距離のわりには退屈せずに運転できる。気温がちょうどいい時期に走れたので爽快なツーリングであった。

しかし「懐かしい」というのはなかなか不思議である。久しぶりに思い出すから懐かしいのであって、しょっちゅう見ていたらそんな気持ちにはならない。つまり懐かしポイントというのは日々蓄積しているのである。今回、京都府南部と奈良の懐かしポイントはかなり消費してしまったので、懐かしがるにはまたポイントを貯めていかなければならないということだ。

運転中は頭がヒマなのでそういうことばかり考えていたら学生時代に初めてバイトをした食堂のことを思い出して、帰り道につい寄ってしまった。もうさすがに知ってる人はいないと思ったが、定食を食べて帰ろうとしたところで客席の端っこで新しいバイトの面接が始まって、おれが働いていた頃からいる店長が奥から出てきた。

思わず声をかけたら、10年も前のバイトのことを未だに覚えてくれていたようで向こうもびっくりしていた。19歳とか20歳でひたすら世の中を舐めていてやる気もなかったのだがなぜか採用してくれて「フライパンの使い方なかなか上手やん」とか言っておだててくれたのがこの人だった。ちょっとは料理も覚えられて、時給は安かったけどこれも今思うといいバイトだったのである。おれの20代、ひたすら国道24号線をいったりきたりしていたのだと思うと微妙な気持ちにもなるが、実際はわりと楽しくやっていたような気もする。

学生のときに買ったST250から買い替えて、今はカブ110に乗っている。
レギュラー満タン600円で200キロ走れるバイクだ

今週のお題「懐かしいもの」