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踊る!ディスコ室町のギター

愛宕山千日詣り

愛宕山の千日詣りという伝統イベントがあって、京都では大人気イベントになっている。愛宕山頂の神社には火伏せの神様が祀られていて、毎年7月31日夜から8月1日朝にかけて参拝すると1000日分の功徳が得られるのだ。神社のルールってときどきそういうのがありますね。

前日にWatte chaiさんが愛宕山麓のギャラリーにてイベントのキュレーターをやっていたので出かけていったら大変おもしろくて、その日集まっていたメンバーで登るというので一緒に登らせてもらうことにした。

前日のイベントでは床置き手食べ形式のカレーを食べたりした

23時に集合して即出発。山に入る前から、下ってくる参拝者たち(もちろん知らない人たち)から「おのぼりやすー」と声をかけられる。どうもそういう文化があるようで、登りの人たちもなにか言っている。正解はわからないが「おきばりやす」のようで、自分も真似して声をかけてみる。「おのぼりやすー」「おきばりやすー」。ちょっとした挨拶だけど通じあえているようで嬉しい。昔の人々はフジロックとかではなくてこういうイベントで一体感を高めていたんですな。

フジロックとはちがって飲んだくれている人はいない

登山はなかなか厳しいもので、特に前半2割ほどが急角度を登ることになっている。一歩ずつ足を持ち上げるたびに汗が吹き出てきて、首に巻いていたハンドタオルがびしょびしょになっていく。シャツもトレッキングパンツも濡れる。

せっかく集まったのに前方の猛スピードで登る組には離され、追いかけているうちに後方のゆっくり登っている班とも距離が空き、結局ひとりで登ることになった。普段そのへんを歩いているときも中間に取り残されることがよくある。

はい

それでも登っていると、道の脇に鹿が登場したり、標高が上がって涼しくなったりして気持ちがいい。登山といえば冬の比叡山ばかりだったのでとにかく暑いのは慣れていなくて大変だったが、昆虫や動物が元気なのが良い。人間的にも元気が出てくるような気がしてくる。

この方は年中登り放題
終盤もひたすら階段でキツイ

山頂にたどり着いて参拝を済ませたが、一人では寂しいので引き返すとチャイ屋さん一行と遭遇した。せっかくなので合流してもう一度登り返すことにする。神社では神事がスタートしていたが、人が多すぎて見えず。しかしどちらかというと神より山に興味があるので、人が少ないところに避難して涼んだ。

神社は混雑している。ゴロ寝している人もけっこういる
平安のシンセサイザーこと笙を持っている方がいたが演奏は聴けず

下りは同行していた子どもらと一緒にくだる。子どもの頃にこういう深夜野外イベントに出かけられると、異常にテンションを上げられそうで羨ましい。ちょうど夏休みだし、抱えられた赤ちゃんを含めて子どもが多かった。小学生も元気にくだっていて頼もしいし、高校生が「おれいつも深夜まで起きてるで」と自慢していたりして微笑ましいが、理由を聞くと「好きなYouTuberがこの時間に配信してる」と言っており、罪深い商売である。

「おきばりやす」かと思ったら「お下りやす」だったらしい

麓まで降りてきた頃には空が薄明るくなっている。ギャラリーで休ませてもらうと、何人かは倒れ込むように眠っていた。しかし我々には最後のイベントが待ち構えており、それは空也滝でのムルカット、沐浴である。

30分ほど別ルートを登ってたどりついた滝は厳かで、飛び散る水が向かい側から差し込んだ朝日を分光しまくっており、虹色に輝いていた。そりゃあこんなもん発見したら、信仰の対象にするわな、という感じ。みんなで一通りはしゃいでポーズを取って写真を撮らせてもらう。汗も流れて爽快。

石像とかがあって異世界感がある
みんなで撮影大会になった
異常な写真が撮れまくって楽しい。ちなみにこの方は地球の歩き方インドを作っている松岡氏

その後は朝食まで頂いたあと、自宅に戻って通常どおりの仕事である。あれだけの参拝客のうち、全員とはいわずとも半分くらいは翌朝から仕事に出ていると考えると、やっぱり異常なイベントだと思う。来年も登りたい。