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踊る!ディスコ室町のギター

銭湯日記


(風呂の給湯器が壊れたので銭湯に通っています)

銭湯の暖簾(のれん)の隣に菊花賞秋華賞の垂れ幕が飾ってあるなーと思ったら脱衣所にも京都競馬場のポスターやレース日程のパンフレットが置いてあったりして、どうやらJRAの広告であるようだった。いくらサウナがブームといっても街の銭湯の経営が厳しいのには変わりないので、そういう場所にJRAの予算が投下されるのはいいことだ。いいことか?

ポスターを見た大学生のグループが「人生の経験として『差せ!』とか言ってみたいよねwwいや儲けたいわけではないんだけどww」みたいな会話をしているのも見かけて、ちゃんと広告の効果が出ていた。そういう会話をしている若者のうち数%は実際に競馬場に足を運んで、その大半は本当にレジャーとしてちょっとバイト代を失う代わりに楽しんで帰るんだと思う。しかし中にはそれで競馬にハマってしまって、人生のいろいろを棒に振ることになる人もいるはずだ。あのとき銭湯でポスターを見ていなければそんなことにはならなかったのに……。

競馬にハマる人間を獲得して、そこから得られる利益が広告料を上回ると見込んでいるからJRAは銭湯に広告を出している。そういう「カモ」を引き入れるための広告は世の中にたくさんあるし、そのおかげで維持されているものも多そう。たとえばビッグモーターのCMでFMラジオの番組が成立していた、とか。誰かの愛車がゴルフボールでボコボコにされる代わりにいい感じの音楽がかけられていたと考えると、だいぶいや。では、脱毛のコマーシャルで維持されるYouTubeや、顔のシミや便秘に効くあやしいサプリのバナーが支えているWebメディアはどうなのか。維持されるだけの価値はあるのか。

自分は世の中がちょっとでもよくなったりマシになったりしてほしいと思っているので、誰かの不利益によって成立しているものについてはよく考えておきたい。みんなが100円多く払うこととでJRAの広告を見なくて済むならそうした方がいいというか、そういう道がないか、いったん考えてみてもいいと思う……とかそういうことを湯船で考えていた。銭湯の湯船はけっこう温度が高いのでゆっくり入っているとのぼせそう。(入浴時間20分)