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踊る!ディスコ室町のギター

六甲おろしは風がモチーフになっているのがいい


関西に住んでいると、甲子園の阪神戦チケットがどこからか舞い込んでくる。接待用だったり福引の景品になっていたりして半ばバラ撒かれた状態のチケットが存在していて、関心がない人が入手したとしても近しいタイガースファンの元に渡ってくるのだ。2003年には友達のお父さんから日本シリーズのチケットを譲ってもらって金本のサヨナラホームランを見たし、新卒で入った会社では社長が取引先からもらってきたバックネット裏のチケットをもらって、糸井がネクストサークルで振るバットの音を聴いた。久しぶりの現地観戦になった今日は、高校のときの先生が急遽チケットを手に入れたらしく、それに乗っかることができた。先生はお肉屋さんの抽選会でゲットしたらしい。関西では、そのようにして甲子園のチケットが流通している。


京阪から御堂筋線経由で阪神梅田の改札をくぐると、もう乗客はみんなレプリカユニフォームを着ている。他球団のファンがどうか知らないけど、タイガースファンは自宅からユニフォームを着てくるのだ。黄色や白のユニフォームは電車にひとりふたりいると目立つが、だんだん球場が近づくとその数が増えてきて、阪神電鉄に乗る頃には、むしろ着ていない方が異常になる。久しぶりの観戦となった自分は、実家に置きっぱなしにしていた黄色いユニフォームと帽子を球場で父から受け取って着替えた。たしか小学生か中学生の頃にファンクラブに入っていたときにもらったユニフォーム。


試合はというと、もう完全に優勝チームの試合だった。ボールが高めに浮きがちな広島・森下から序盤に4点取って、さらに5回に内野ゴロで1点。クリーンヒットは少なくても、相手の四球とかエラーで出たランナーを上手に返していく攻撃。逆に阪神の先発・大竹はフォアボールを出すこともなく自責点ゼロのピッチング。石井と桐敷が無失点でつないで、最後はランナーが出てセーブシチュエーションになったところで岩崎が出てきてあっけなく試合を締めた。4点差だったら継投も少なめでいいんじゃないかとも思ったが、惜しみなくリリーフをつぎ込んで最後まで反撃の隙を与えない圧倒的な展開だった。今年のチームは自分と同い年の選手がレギュラーを張っていて、余計に応援したくなる(近本、大山、木浪が同い年なのは認識していたが、スコアボードによるとノイジーも同い年だった)*1し、突出してすごい選手はいないのに、全体としてめっちゃ強いのがチームとして愛せる。坂本のリードも基本ストライク先行でボール球が少なく、マクブルームにはスローボールを連投するような余裕もあってよかった。来年はレギュラー獲ってほしい。


点が入ると、ライトスタンドを中心にして、球場全体で『六甲おろし』を歌う。最近になって気づいたが「六甲おろし」というのは六甲山から吹き下ろす山風のことで、風がタイトルになっているとはしゃれている。しかも1番はほとんど叙景詩である。「六甲颪に颯爽と 蒼天翔ける日輪の 青春の覇気美しく 輝く我が名ぞ阪神タイガース」。六甲の風に乗って颯爽と空を翔ける太陽に、青春の覇気が美しいと。かなりかっこよくないか。かっこいいと思う。前半が歌えない人が オウ オウ オウ オウ〜から合流できるのもいい。甲子園に行ったら何回でも歌いたい。


優勝シーズンの快勝を見れて満足だったけど、ひとつ不満があったとすれば各選手のヒッティングマーチである。電光掲示板に歌詞が出るので見ていたら、フルスイングとか勝利目指せとか言っていて現実的だし普通だった。昔の応援歌には「打球がライトスタンドをひとまたぎ」とか「実家はヒノキ風呂」とか、そういうファンタジーやユーモアがあった。このまま黄金期を迎えるとしたら、来年はいい感じのヒッティングマーチを作ってほしい。あとサトテルはもうちょっとサードの守備をがんばってほしい。今日も試合開始直前のボール回しで、名前がアナウンスされた瞬間に大山からのボールを後逸して爆笑と心配を誘っていた。しかしそれでもなんか堂々としているのは愛せるが。

*1:おれは北條にもがんばってほしい