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踊る!ディスコ室町のギター

禅とオートバイ修理技術

ja.wikipedia.org


『禅とオートバイ修理技術』という本を読んだら、不思議な読書体験となった。不思議だったのは、自分の経験や読んできた本の知識が総動員されるようなところ。

自分は偶然にも扱われているテーマを身近に感じることができたけど、そうでない人はこの本を楽しく読むことができるのか謎に思った(それなりにおもしろいのかもしれない)。70年代の発売当時には世界で500万部売れたとのことだが、みんなどのように読んでいたんだろう。

バイク

  • 本書にはタイトルのとおり、オートバイが登場する
    • 学生のころに二輪免許を取得して、250ccのネイキッドバイク(スズキ・ST250)に乗っていた。本に出てくるような、何日もかけたロングツーリングはしたことがないけど、主人公によって語られるバイクの機能や部品の話を具体的にイメージするのは、実際にバイクを所有する経験がなかったら難しかったように思う。
    • 就職したタイミングで乗り換えて、いまは110ccのカブに乗っている。ちなみに修理技術は持ち合わせておらず、たまにエンジンオイルを交換するのみ。もうちょいメンテしないといけない。

登山

  • メインに据えられているわけではないけど、山での装備やロッククライミングに関する記述が少しある
    • 最近急激に服部文祥にハマって(ブログにも書いた)、著作を読んだり映像を見たりしていた。氏は登山について「自分という装置を、機能を損ねることなく目的地まで持っていく行為」というように言っていて、これはオートバイを整備しながら旅をすることにも重なる。

哲学思想

  • 主人公の哲学的な思索が巡るうち、純粋理性批判の話になる
    • ちょうど1年くらい前から、NHK 100分de名著のテキストを読む読書会をやっていた。そこで『純粋理性批判』の解説(名著98「純粋理性批判」:100分 de 名著)を読んでいなければ、理解が難しい部分があった。
    • 加えて、千葉雅也『現代思想入門』と並行して読んでいたからスッと読めた部分がたくさんあった。『現代思想入門』を読んでから、他の本の理解がスムーズになる体験がすでに何度もある。いわゆる「進研ゼミでやった」現象。千葉雅也えらい!

ちなみに恵文社で買ったとき、なんで上巻だけ売ってんのかなと思ったのだけど、下巻がどうしても見つからない。
ハヤカワに問い合わせたところ、在庫もなく再販の予定もないと回答があった。そんな。

偶然生き残っていた在庫があったのだろう。続きも読みたいが、見つかったらでいいかなという気持ちもある。

誰か持ってたら貸してください。または古書店で見つけたら教えてください!