選挙が近づくたび、SNS上で「投票に行こう!」と呼びかける人をたくさん見かける。
俳優やミュージシャンがそう呼びかける映像もみた。
自分はこういった呼びかけを見るたびに少し違和感を感じる部分があって、それはなぜ特定の政党への投票(またはその逆)を呼びかけないのか、ということだ。
もちろん自分も、選挙があれば当然投票したほうがいいと思っている。けど、もっと言えば、具体的に議席を伸ばして欲しい政党や、当選して欲しい議員がいる。
投票率が上がって、しかも特定の政党や議員の支持率がアップするのが理想ではないのか。
しつこいようだけど、僕自身は投票に関して、当然行ったほうがいいと思っている。特に自分たちの世代は投票率が低いという話を聞くが、もし投票率が上がれば、政治家もその世代を蔑ろにすることはできなくなる(のではないか)と考えるからだ。
しかし、政治的なパワーによってなにかを変えたい(または変えたくない)とか、政治そのものを変えたいと思うのであれば、「投票へ行こう」より踏み込んだことを言わないといけないんじゃないか。
投票に行こう!と呼びかけている人の多くは、現在の体制に不満のある人が多いのではないかと思う(安定与党を支持しているなら、わざわざ票を掘り起こす必要がないだろう。このままでええわいと思っているのであれば、わざわざ投票を呼びかけなくていい)。
であれば、やっぱり野党共闘候補に入れようとか、比例は◯◯党に入れようとか呼びかけたほうがいいんじゃないか。打倒自民党政権と言ったほうがいいんじゃないか。それをしない、あるいはできないのはなぜなのか。
少し話は変わるけど、(自分を含めて)わたしたちは、投票行動に戦略性を持たせることについて、あまりに何も知らなすぎるのではないか。
ちょっと前にTwitterで以下のような意見を見かけて、うんうんそうだよなと思った(ツリー内に他のツイートもあるので全部読んでみてほしい)。
「今の与党には不満があるが、支持できる野党がないので結果的に消極的与党支持」みたいな場合って、投票行動としてその心情に一番寄り添う最適解は、「とりあえず野党第一党に入れる」になると思うんですよね
— 𝙎𝘼𝙋𝙋𝙊𝙍𝙊 𝙋𝙊𝙎𝙎𝙀 (@sapporo_posse) July 12, 2021
これはどっちかというと、抗議行動の一つの形として
というのは、実際問題、野党に今すぐ政権を奪取できるだけの勢いがあるとは思えなくて。
— 𝙎𝘼𝙋𝙋𝙊𝙍𝙊 𝙋𝙊𝙎𝙎𝙀 (@sapporo_posse) July 12, 2021
だから、「自民に不満はあるが野党には政権をとって欲しくない」という人も、安心して野党に入れたらいいと思うんですよね。そんなことで今の野党が勝ってしまうことは、正直まずないと思うので
「野党に政権を取らせる」という発想じゃなく、「与党を少し謙虚にさせる」という発想に立つと、ちょっと選択肢が見えやすくなると思うんですよね、政治に興味のない人も
— 𝙎𝘼𝙋𝙋𝙊𝙍𝙊 𝙋𝙊𝙎𝙎𝙀 (@sapporo_posse) July 12, 2021
現在の与党に不満があるのであれば、「野党がダメダメだから」といってしょうがなく自民党に入れるよりも、とりあえず立憲民主党に一票いれておくのも手だ。別に自分が一票いれたところで立憲が逆転するわけでもない。「このままだと危ないぞ」と思わせる効果の積み重ねが必要だろう。
自分の考えと政党が掲げる政策をマッチングしてくれるサービスもあるけど、自分の意見とマッチする政党への投票が、そのまま自分の意見を実現させる一番の方法であるとは限らないのだ。
こういう考えを呼びかけてもいいだろうに、少なくとも自分のまわりではほとんど見ない。
他にも、たとえば応援したい政党の政党要件とか、供託金没収阻止とか、そういうところを見たっていい。
政党要件とは、以下のようなものだ。
「政治団体のうち、所属する国会議員(衆議院議員又は参議院議員)を5人以上有するものであるか、近い国政選挙で全国を通して2%以上の得票(選挙区・比例代表区いずれか)を得たもの」を政党と定めている。(「日本の政党 - Wikipedia
」)
たとえば今回の衆議院選挙でれいわ新選組を支持政党とするなら、この2%を目指しにいくのも、妥当な目標だろう。
もしも候補者がぜんぜん当選しなかったとしても、得票が2%に届けば政党として認められる。認められれば、政党助成金その他いろんなメリットがある(同じく日本の政党 - Wikipedia参照)。
供託金に関していえば、衆院選の選挙区であれば得票の1割を集めれば返還される。逆にいえば10%に満たない場合は没収だ(供託金 - Wikipedia)。
得票率10%というと当選とは全く関係ないラインだけど、その一票が無駄にならないという意味で、投票のモチベーションにしてもいいんじゃないか。
今回だめでも、お金が没収されずに戻ってくれば、活動を続けることができたりするだろう。
選挙によってなにかを実現しようとするなら、他にもいろんな戦略があるだろう(野党共闘はその最たるものだ)。
自分は、現在の政治状況をけっこう深刻にとらえている。そして、ちょっとでも深刻でなくしていきたいと思っている。
そうするためには、「投票に行こう」だけでは駄目なのではないかと思ってしまった。
端的に言えば、「投票に行こう」というメッセージだけではヌルいと感じる。なにかを変えようとするなら、多少波風の立つやり方だって必要だと思うし、今のわれわれには、それが足りてないんじゃないかと思うからだ。淀んだ水や空気を動かすには、波だって風だって必要だろう。
なんだか内容もバラバラで疑問形ばかりの文章になってしまったけど、ここまで読んでもらえたなら、じゃあお前はどうなんだと思われることだろう。
とりあえずの意思表明として書いておくと、今回の選挙では選挙区・比例代表ともに、共産党に投票するつもりでいる。
そして、これを読んだ人にもできるだけ、選挙区は野党統一候補・比例は立憲・共産・れいわのどれかに投票して欲しいと思っている。
友達には、自分が政治や投票行動についてどう思っているかを教えてほしいし、カジュアルにそういう話をしたい。勉強しようと思っている。