表舞台での目立った活動が無く「空白期間」と言われている時期が実は”空白”なんかじゃないことや、「うさぎ!」を始めとする文章、インタビュー・TV出演の発言が丁寧にまとめられている。
そして当たり前だけど、そういった期間の活動が「帰還」後の作品に表れているのだ。
先週書いたブログ記事では「『流動体について』の”間違い”という言葉に違和感がある」と書いたけど、この違和感はほとんど無くなって、最初に聴いたときの興奮がよみがえってきた。オザケンありがとう!!みたいな気持ちだ。
本書のおかげでアルバム「So Kakkoii宇宙」に怯まず向き合えるようになったし、今まで以上に好きになった。
特に痺れたのは以下の部分。
「苦しみを経て、最初は難解だったことが、難解じゃなくなっていく。読み手や、読み手のまわりの小さな社会が、ちょっとずつ変わっていくから。読み手が家族や友人になにげなく言うことや、することが、その人のまわりの、読んでいない人を含めた小さな社会をちょっとだけ変えるんだ」。それを、二〇一七年の小沢健二は「流動体について」でこう言い換えている。《意思は言葉を変え 言葉は都市を変えていく》。
(宇野維正「小沢健二の帰還」P133)
宇野維正さんありがとう!