本書タイトルの「マンションは日本人を幸せにするか」について、筆者は「イエス」と答えている。「イエスであらねばならない」「イエスであり続けなければならない」とも。ただし、その幸せはじっとしていても得られない(と、あとがきに記されている)*1。
マンションは、日本人を都会に住まわせた。マイホームを持たせた。核家族化を進めた。少子化に導いた。資産となり、負債となった。区分所有という概念を植え付けた。管理組合という強制加入組織を作らせた。高気密・高断熱な住まいを提供した。エアコン使用を定着させた。高層生活を定着させた。
マンションによって実現したことが上記のようなことなのであれば、結局は新自由主義的な選択と集中や、競争社会のための密集を加速させたことに他ならないのではないかと思う。もちろん、そういった社会の要請によって広まった住宅様式でもあるのだろうけど。
そもそも「幸せ」の定義が難しいので何とも言えないが、本書で言及されているような長◯工マンションみたいな物件を購入するローンのために働き続けることになるのなら、それが「幸せ」なのかは非常に疑問だ。
議論が飛躍しすぎたかもしれないが、ぼんやりとそういうことを考えながら読んだ。
*1:とにかく区分所有の概念が難しいので、管理組合がうまく機能する必要があるということらしい