全ページの全センテンスに皮肉と戯言(ブルシット)含まれているかなりヤバい小説だ。
皮肉の対象は白人、男性中心社会、マーベル、ウォルトディズニー、コービーブライアント(名前が神戸牛に由来しているとは知らなかった)、ブッシュ、ビヨンセ、レディガガ、トマスジェファーソン、スターウォーズ、マドンナ、ザッカーバーグ、ジョブズ、GAFA、インスタグラム、フェイスブック、そしてツイッターに向けられている。
とにかく約370ページのほとんどが上記への皮肉で埋め尽くされていて、しかも何回も同じことが繰り返されたりしているので胸焼けするような読後感だ。正直ところどころ読み飛ばしながら読了した。
あまりいい気分になる小説ではないけど、インターネットやそこに表示され続けている広告たちへの警戒や不快感については、確かにもうちょっと自覚的になってもいいかもしれないと思うところはある。
ところで、タイトルについて。
原題は「i hate the internet」とあり、たとえば未翻訳ブックレビューの植田かもめさんは「インターネットだいっきらい」と訳している*1。
中身を開く前にこれに気付いて、「くたばれ」って原題に比べてだいぶ強いニュアンスなのでは?と思っていたけど、読んでみるとなるほど「くたばれ」でも足りないくらいの「i hate」であった。なんとなく「保育園落ちた日本死ね」に似た空気感のブチギレだ。
*1:植田かもめさんの書評に”表現方法は拙劣だけど表現動機は切実、というタイプの本である。”というまとめがあり、めちゃくちゃ頷いた。