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踊る!ディスコ室町のギター

韓国 行き過ぎた資本主義(金敬哲)

映画「パラサイト」が面白過ぎたので、背景知識を知りたいと思って購入。

隣の国なのに、実はほとんどなにも知らないまま過ごしていた。これまで自分の生活に近いところでは、韓流ドラマやフィギュアスケート、アイドルなんかはずっとTVで話題になっていたし、大学のときには同じゼミに韓国からの留学生もいた。歴史問題も度々話題になっているし、いわゆるネトウヨ在日コリアンを差別の対象にする「嫌韓」について取り上げている講義を受けたこともある。
なのに、韓国社会のことはほとんどなにも知らなかった。本書に登場するキーワードのほとんどが、自分が知っている言葉であったが、それぞれが全く繋がっていなかった。IMF通貨危機、受験戦争、競争社会…。

程度は違えど、ほとんど全てのエピソードについて、日本の未来を示していると思わざるを得なかった。
極端に大企業が強い経済で、とにかく大企業に入ることが至上命題となっている。そして大企業に入るためにはトップの大学でいい成績を残し、インターンや留学によって「いい履歴書」を作らないといけない。そのためにはいい高校に入りそのためには…と、逆算していくと幼児教育からすでに大学受験が意識されている。
そして教育合戦が過熱しすぎて、とにかくそこに資金を投入できるかどうかが受験戦争の勝敗を分けるようになり、金持ち・貧乏の社会階級が世代を超えて受け継がれてしまう。中年になってもリストラに怯えて過ごし、退職後も年金は微々たるもので、息子娘の世代は孫世代への教育費と暴騰する住宅費で手一杯…

資本主義を経済システムの基本に据える以上、競争からは逃れられない。そのシステムのなかで正しく振る舞おうとするほど、「無限競争」は激化する。
他人事じゃなさすぎて、読み終わってから本当に憂鬱な気分になったし、このシステムからなんとかうまく距離を取る方法について考えたいと思った。